身元保証相談士について
施設への入居時や病院への入院時、自身の財産管理など高齢者が日常生活を送るうえで、身元保証が必要になる場面がたくさんあります。しかし、いざ身元保証を頼もうと思っても、身近に親族がいなかったり、身寄りのない高齢者にとっては身元保証人の手配は難しく、多くの高齢者のお困りごとの一つとなっています。
そのような場合に、身元保証相談士が身元保証人になることで、安心して日々の生活支援を頼むことができます。
身元保証相談士とは
身元保証相談士とは、一般社団法人身元保証相談士協会主催の認定資格であり、身元保証の仕組み、身元保証業務で必要な法律や介護、葬儀・供養等の知識を有する専門家のことをいいます。
資格は1級と2級に分かれており、1級の認定を受けるには弁護士・司法書士・行政書士等、法律分野の国家資格を有している必要があります。
身元保証相談士の役割
高齢者施設への入所時や病院への入院時の際に、ご本人の身元引受人・連帯保証人として署名することが身元保証相談士の主な役割です。
しかし、署名のみにとどまらず実際は日々の生活支援や入院・施設入所後の様々な対応など、責任ある役割を求められます。
例えば、施設に入居している際には、施設外に出れないなどの理由から日常の生活費などの支払い代行を行う財産管理業務が発生しますし、往診医の病状説明の立会い、介護職員との連携などがあります。またご本人のご逝去後には葬儀・供養の手配やライフラインの解約手続き、行政手続きなどさまざまな業務を行います。
ご本人がお元気なうちでも、定期的にご訪問し生活状況を確認したり、将来のライフプランを一緒に考えることも身元保証相談士の役割です。
身元保証相談士協会とは
近年、日本人の高齢化と共に様々な形の身元保証サービスが提供されています。しかしこれまでの身元保証業務では、その業務内容の不透明性により多くの問題が発生した過去があります。例えば、生前に契約したはずの死後事務手続きがご本人のご逝去後に契約通りに行われなかったり、身元保証業務を請け負う会社がお客様の財産を勝手に持ち出してしまい刑事事件に発展したケースもあります。
そのような曖昧な身元保証業務を明確にし、法律を軸にお客様に安心・安全な身元保証サービスを提供できるような仕組みを作り、健全な身元保証業務のスタンダードを生み出したのが、身元保証相談士協会です。
身元保証相談士協会は、身元保証相談士の検定の実施及び資格の付与を行っており、実際に身元保証業務を行う会員の業務をサポートしながら、同時に適切に業務が遂行されているか監督も行う体制をとっております。
身元保証相談士協会の方針について
身元保証相談士協会認定の身元保証相談士は下記の4つの方針を軸として、お客様に信頼していただける身元保証業務を行います。
1)契約は法律の専門家が関わり作成
家族や親族でない第三者は、本人との委任契約なくして身元保証の役割を果たすことはできません。本人から事務代行を口頭でお願いされても、その事実を証明できなければ、手続きを進めることはとても難しいです。
そこで、身元保証人がお客様の希望通りに身元保証業務を行えるように生まれたのが「6つの公正証書」です。
〈6つの公正証書の内容〉
- 身の回りの事務代行
- 将来の認知症対策
- 信託口座によるご逝去後に発生する費用の預入れ
- 葬儀や供養の手配などの死後事務
- 医療や治療方針の指示
- 遺言書による遺産相続の方針の確定
これらの内容を遂行する権限を、「公正証書」という形で法律に沿って委任してもらうことにより、契約時からご逝去までの期間はお客様のご希望に沿って身元保証業務を行うことができます。
2)預託金は信託口座で保管
ご本人がご逝去された後の死後事務手続きを進めるためには、ご葬儀や供養にかかる費用やその他の費用を生前にお預かりする必要があります。信託口座とは、金融庁の許可を得て、預けたお金を管理するためのお客様専用の口座のことです。
過去に破綻してしまった身元保証会社では、お客様からご逝去後のために預かった資金が、会社の運営資金に充てられていたなど、不適切な管理業務が問題となりました。
身元保証相談士協会では、ご逝去後に必要となる費用をお客様専用の信託口座でお預りするため、不適切な管理業務の心配はありません!
第三者機関がお客様専用の口座を開設し、口座を個別に管理することで安全に預託金を保管できます。原則的に、信託口座内の預託金はご逝去のタイミングまでロックされ、払い出しなどはできないようになっています。
また、預託金に関する契約書も作成しているため、身元保証相談士はしっかりと死後事務と遺言執行業務を行うことができ、死後のトラブルの発生を未然に防ぐことができます。
3)直接的な寄付行為はお受けしておりません!
身元保証会社によっては、財産を寄付することを前提に身元保証を受ける業務形態をとっているところもあり、身元保証をお願いするのに多額の資金が必要となる場合があります。
しかし、当協会では寄付に頼ることなく適切な事業運営が行われるよう管理されているため、所属する身元保証相談士はお客様からの寄付をお断りする方針となっています。ご逝去後の財産の分配については、ご希望に添うように手続きをさせていただきます。ご希望がない場合には、公的な寄付団体をご紹介させていただきます。
4)身元保証相談士協会が監督機関として、身元保証相談士を管理・サポート
適切な運営体制が整っていない身元保証関連会社では、お客様から依頼された死後事務などの手続きを適切に行わない場合や、酷い場合はご本人の財産を横領してしまう場合もあります。
身元保証相談士協会ではそのような不正を防止し適切な業務運営をサポートするために、定期的に身元保証業務の報告を受け、適切な身元保証業務が行われているかの管理、監督を行っています。
このように、身元保証相談士協会が第三者として監督的な立場に立って、身元保証相談士協会会員の業務運営をサポートしておりますので、お客様に安心安全な身元保証サービスを提供できます。